wedge shaped defect
wedge shaped defect
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分野名
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解説
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【概要】
・WSDともよばれる
・磨耗症の1形態
・知覚過敏の原因となることがある
・年齢とともに増加し、上下、左右で差は認められな い。歯種は犬歯、小臼歯の頬側面に多い。
【詳細】
歯頸部に生じるくさび形の実質欠損をくさび状欠損をWSD(wedge shaped defect)と呼んでいる。これはう蝕についで多い硬組織疾患の病変である。
くさび状欠損は摩耗症の一形態としてとらえられており、歯と破以外のものとの接触による機械的な作用によって歯面が徐々に摩耗し、歯に表在性の実質欠損が生じる。すなわち長期間かかって表現する歯の慢性損傷であるとされてきた。その原因は歯ブラシと歯磨材の不正使用が主因であり、歯ブラシの横ミガキで過度の力が加わることにより生じると考えられてきた。
一方では咬合力がこの歯頸部欠損に大きな影響を与えていることが示唆されている。すなわち、強い咬合や咬合異常によって力の加わった部位に対応する特定の歯頸部表層に引っ張り応力が生じ、エナメル質及び象牙質が破壊されて欠損が生じると考えられていることも多い。くさび状欠損の存在する歯の咬合面に特徴的な摩耗や周囲骨に骨隆起が見られることも多い。また欠損の拡大には咬合力以外の諸因子、たとえばブラッシングや酸性の環境が関与する。このような硬組織欠損の生じ方からab(=away)と fractionを合成してアブフラクション(abfraction)とよんでいる。
以上のようにくさび状欠損の病因は主に2つに分かれているが、すべてを一方の病因で説明することは困難である。歯ブラシを主とする摩耗と咬合の相互作用により生じつと考えるのが妥当であり、どちらが主因であるかは症例によって異なると考えられる。
【原因】
・誤ったブラッシング
→歯ブラシ~過度の横磨き
・クレンチングなどの咬合力や外傷性咬合による歯頸部が楔状に実質欠損を起こす
→咬合力~強い咬合が引張り応力 を生じさせる。
《好発》
・くさび状欠損を有する者の割合は年齢とともに増加し、上下顎間および左右側間では差は認められない。
・小臼歯や犬歯に好発する。
《治 療》
・コンポジットレジン修復、グラスアイオノマ-修復
・視診により診断され接着性修復材料を用いて欠損部を修復する。
・病因を 見きわめそれに対する処置も必要である。
【参考:磨耗】
歯と種種の物質による慢性的な機械的作用で歯質が摩滅を起こすこと
参考文献:保存修復学21 第三版 永末書店
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