固定・固定源の分類
コテイ・コテイゲンノブンルイ
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分野名
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解説
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【固定・固定源の分類】
(1) 固定源の部位
(2) 固定の性質
(3) 抜歯症例における抜歯空隙利用による
【固定源の部位による分類】
・顎内固定
固定源と移動歯が同じ顎内にある
例)舌側弧線装置、床装置、マルチブラケット装置、セクショナルアーチ(ブラケットを部分的に入れている)
・顎間固定
移動される歯や顎に対して固定源が対顎にある
例) II 級エラスティックゴム、 III 級エラスティックゴム、垂直エラスティックゴム、交叉ゴム
・顎外固定
固定源が口腔外にある
例) ヘッドギア、オトガイ帽装置、上顎前方牽引装置
【固定の性質による分類】
・単純固定
固定歯が傾斜移動するときの抵抗力を利用
・不動固定
固定歯が歯体移動するときの抵抗力を利用
・相反固定
1歯または歯群の抵抗が、相対するときの1歯または歯群の移動に利用される場合、
歯を固定源として歯を移動する場合は、多かれ少なかれ相反固定になっていることが多い。
すなわち引っ張り合い、押し合うわけである。
例)拡大ネジによる歯列弓の側方拡大、ループによる正中離開の治療、顎間ゴム
・加強固定
固定の喪失をできるだけ防ぐことを目的として固定を強化、保護するのが加強固定である。
例)固定歯を多くする
口蓋や歯槽部に固定を求める(例えばホールディングアーチ)
筋の機能力を利用する(例えばリップバンパー)
顎外固定を使う(例えばヘッドギア)
・準備固定
マルチブラケット装置にエッジワイズ法においてTweedによって提唱された固定の強化の方法である。
この考え方は、固定を強化する手段として一般的に用いることが出来る有用なものである Tweedによる方法では上顎前突のアングル II 級1類の治療を行う際に II 級ゴムを使用する前の前準備として下顎のワイヤーの屈曲と III 級ゴムを用いて、下顎の側方歯を遠心に傾斜させておく。こうすればその後に II 級ゴムを使用する際に歯列の固定が喪失するのを防ぐことができる。
【抜歯症例における抜歯空隙利用のための固定の分類】
・最大の固定maximum anchorage
臼歯の近心移動量を抜歯空隙の1/4以上は許されない場合、強力な顎外固定、加強固定、準備固定を用いる必要がある。
・中等度の固定moderate anchorage
臼歯の近心移動量を抜歯空隙の1/4- 1/2は許せる場合
・最小の固定minimum anchorage
臼歯の近心移動量を抜歯空隙の1/2以上許される症例
また、正常な被蓋関係や咬合関係のために抜歯する部位も考慮する必要がある。
例えば上下の顎関係が I 級関係でtooth sizeが通常の場合、上下の第一小臼歯を抜歯すると、 固定を十分に考慮して治療を行うと移動後の第一大臼歯は I 級関係のままである。
しかしもともとの臼歯関係が II 級関係の場合、上顎の第一大臼歯は近心移動させたくないので、下顎は第二小臼歯を抜歯し、上顎は第一小臼歯を抜歯することがある。
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