長期抑圧
チョウキヨクアツ
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分野名
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解説
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【長期抑圧】
LTDともいう。
低頻度電気刺激によりfEPSP(低頻度の刺激の刺激電流を増加させて誘発された速い興奮性のシナプス後電位)の傾きまたはPSの振幅が減少する現象が数時間にわたり持続する。小脳で最初に発見された。
平行線維と登上線維をほぼ同時に組み合わせ刺激
↓
平行線維 - プルキンエ細胞シナプス伝達を抑圧(1時間以上)
(長期抑圧がかかりやすい。無駄の動きが削られ必要な動きのみを残し、運動をパターン化して記憶することが可能になる。)
【機能】
小脳は感覚・運動機能の直接に関係してるほとんどの皮質領域から入力を受け、小脳核を介して再び運動野と運動前野へフードバックする。また、小脳は体性感覚情報を直接に脊髄から受け、脊髄下行路の脳幹の起始核に投射している。したがって、小脳は意図した運動と実際に起こっている運動とのずれを、末梢からのフィードバックを利用してすばやく補正するといった運動のオンライン制御に関与していると考えられている。
このとき長期抑圧の機構が重要である。長期抑圧が働くことにより無駄の動きが削られ必要な動きのみを残し、運動をパターン化して記憶することが可能になる。
@小脳と運動の学習
スポーツ練習初期
ぎこちない動作、意識して動作する
↓
反復練習
↓
円滑な動作、無意識(自動)で動作
小脳の働き=動作の誤差修正→小脳を含む脳内に運動モデルを形成する
*平行線維 - プルキンエ細胞シナプスのLTDが重要とされる
@動作の修正
平行線維 - プルキンエ細胞シナプス伝達により運動行った結果
↓
実際の運動と目標の運動との間のずれ
↓(誤差信号)
登上線維
↓
平行線維 - プルキンエ細胞シナプス伝達を抑圧
*この誤差修正を繰り返すことで必要なシナプス伝達だけが残り、正しい動作が可能になるとされる。
【参考:シナプスの可塑性とは?】
経験や学習により神経系の機能は変化し場合によってその変化は長期的に持続する。
このような変化はニューロン間のシナプスにおける信号伝達効率の変化に依ると考えられる。特定のシナプスで入力線維に対し高頻度に刺激が加えられたり、複数の入力源から適当な組み合わせ刺激が加えられると、その後のシナプスの伝達効率が変化することがある。
これをシナプスの可塑性という。
シナプスの可塑性は記憶・学習や動物が環境に適応するための重要な神経系の機能変化の過程である。シナプスの可塑性にはテタヌス後増強、長期増強、長期抑圧があげられる。
参考文献:基礎歯科生理学 第5版 医歯薬出版株式会社
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