■ 本コンテンツ趣意
ADAのワーキンググループ(SCDI)がまとめた白書※
※ Dentistry -Overview of Artificial and Augmented Intelligence Uses in Dentistry-,American Dental Association, SCDI White Paper No.1106
をザックリご紹介します。
歯科におけるAI/AuIの広がりを感じてください。なお当コンテンツは意訳であり、臨床にかかわる箇所のみ抽出しておりますので、詳しく知りたい場合は原著をご覧ください。
OralStudio注:
AIとは
「それ自体が知能をもち自律的に活動・学習するシステム」
と誤解されがちですが、本質的には 人間が作成したプログラムに則り学習(人では実行不可能な情報量を学習)し、その結果をアウトプットするシステムのこと です。すなわち人間の【拡張知能】(人間の脳では処理しきれない情報を処理できるという意味で)であり、 人間の仕事をサポートするシステム であると言えます。これを総称してAI/AuIと示します。
AI:Artificial Intelligence
AuI:Augmented Intelligence
■ はじめに
一般産業界では数年前よりAI/AuIが活用されていますが、歯科では画像処理などに対する活用が急速に進むと考えられます。この技術は発展途上であり様々な広がりを見せるため、 一見ご自身のニーズに合いそうな製品があったとしても、複数の機器を充分に検討し、本当に先生のニーズに適しているか精査した上で導入することが重要 です。
また前述しましたが、
AI/AuIというと自律的に自動化されて必要十分なアウトプットを提供してくれそうに思えますが、これらはあくまで人間を支援するための道具であり、 最終決定は我々が行う必要がある ことを忘れてはなりません。
まさに自動運転と同じです。
2018年、Forbesらはヘルスケア分野における重要なAI/AuIの活用として
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・診療管理
・画像解析
・ロボット手術
・バーチャルアシスタント
・診断支援
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となるであろうと述べています[1]。
またさらにコンサルティングファームのレポートでは
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・医療機器間の相互情報通信
・投薬ミスの削減
・サイバーセキュリティへの活用
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等についても言及されています[2] [3]。
■ 歯科領域における現状
歯科領域における最近発表されたシステマティックレビューでは、AIモデルは、う蝕、垂直歯根破折、先端病変、唾液腺疾患、上顎洞炎、顎顔面嚢胞、頸部リンパ節転移、骨粗鬆症、癌病変、歯槽骨喪失、矯正抜歯の予測、矯正治療の必要性、セファロ分析、年齢・性別判定に使用されており、これらのシステムは、 性能と精度の面で専門医に勝ることさえある と指摘されました[4]。
歯科における最初のロボット手術システムは2017年にインプラント処置向け のものがFDAに承認され、同年末にはZhaoらによって 世界初の自律誘導型歯科インプラント埋入システムが開発 されました[5]。
また、医科では診療管理システム(電子カルテ)に対するAI/AuIの活用も進んでいますが、 一般の歯科診療所で使用されているシステムは標準化・構造化されている情報が少ない ため、医科に比べて遅れを取っている現状です。
ただこれらの問題点が改善されると、 エビデンスベースのガイドラインに則りながらも個人に即した治療提案、予防提案、また鑑別診断支援などにAI/AuIを活用できるようになる でしょう。
■ 当白書のザックリ日本語意訳一覧
▶ 歯科における人工知能・拡張知能の現状2022(会員限定)
▶ 保存系分野への応用(会員限定)
▶ 補綴・口腔外科・歯科放射線への応用(会員限定)
▶ 歯科矯正・顎関節症・睡眠障害分野への応用(会員限定)
▶ 遠隔診療・電子カルテ等への応用(会員限定)
▶ まとめ(会員限定)
▶ 参考文献リスト(会員限定)
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