口腔カンジダ症のリスクファクターと対応
ドライマウスや義歯装着、ステロイド吸入薬を使用している患者に多い。
ドライマウスへの対処
唾液分泌とカンジダ培養検査の相関についての調査結果があります。
唾液分泌量が低下するにつれ、カンジダの陽性率(検出率)が上昇します。同時に、カンジダの生菌数も増えていることから、唾液分泌量が口腔カンジダ症の発症に関わっていることがわかります。
【含嗽や口腔保湿剤の活用】
唾液の浄化作用と抗菌作用が低下しているため、含嗽が重要。
少しずつ水を飲んでもよいのですが、ときどき水でしっかりうがいすることが大切です。
口腔ケア用品(保湿剤:リフレケアやビバ・ジェルエット)で口腔粘膜を湿潤・潤滑させ、粘膜上皮の解剖学的バリアをつくり、カンジダが付着・侵入するのを防ぐことも効果的。
義歯装着者への対処
【日常的ケアでも義歯の除菌は重要】
義歯表面にバイオフィルムが非常に強固に形成されて除去が難しいケースがあります。義歯の洗浄には「次亜塩素酸ナトリウムが最も効果がある」といわれています。普段のケアはこうしたものを使用して患者さん自身に行ってもらいますが、定期的に歯科専門スタッフによる除菌が重要です。
【義歯装着患者に口腔カンジダ症が認められた場合】
栃木病院の岩渕博史先生が推奨する「ミコナゾールゲルの義歯基底面少量塗布療法(後述)」を積極的に活用しましょう。
感染症にはステロイドは禁忌
口内炎や舌炎に、ステロイド軟膏のケナログ (トリアムシノロン アセトニド)やアフタゾロン (デキサメタゾン)を処方されることが多いですが、カンジダが関連した病態でステロイドを使用すると症状を悪化させてしまうことがあるため、適切に診断することが重要となります。