予防戦略の根底にある思い
この予防戦略の根底には2つの思いが込められています。それは、
・口腔カンジダ症の発症を極力予防すること
・抗真菌薬の投与をできる限り少なくすること
この「予防戦略」は、口腔カンジダ症をなるべく再発させず、症状消失から再発までの期間をできるだけ長くさせることを徹底して取り組むものです。
軽度であれば含嗽剤の使用や軽い消毒、 義歯の清掃などで簡単に消失することがありますので、寝たきりの患者さんなどでは口腔内を徹底的に観察して、早期・軽度のうちに口腔カンジダ症を発見することが肝要です。もちろん並行して口腔ケアの徹底が必要になることも明らかです。
口腔カンジダ症予防戦略とは?
実際の臨床では、「口腔乾燥など口腔カンジダ症発症のリスクはあるものの、まだ発症していないケース」も多々あります。そのようなケースでは、口腔保湿剤の塗布を適宜行います。
なお、使用する口腔保湿剤は、抗真菌作用(カンジダ菌を抑制)をもつヒノキチオール配合のリフレケアが良いかと思われますが、粘膜面の保護・保湿を目的とする場合は、ビバ・ジェルエットも使いやすいジェルです。
・再発防止ならリフレケア
・カンジダ症未発症だがリスクはある場合は、ビバ・ジェルエット
などのように、医療機関内でルールを決めると選択が容易です。
口腔カンジダ症再発防止に向けた実際の対応
口腔カンジダ症を発症したら、フロリードゲル経口用2 % を1 回2.5~5 g、1 日4 回、2 週間程度の投与を1クールとして行い、病状により投与期間を適宜調整します。
その後、口腔保湿剤による口腔ケアで口腔カンジダ症の再発予防を行います(リフレケアは1本が70g なので、おおむね1カ月程度は使用でます)。
特にステロイド吸入薬の使用や抗がん剤治療をしている患者さんは口腔カンジダ症の発症要因を抱えていることから、再発を繰り返す可能性が高いため、2週間から1ヵ月に1 度くらいの診療で口腔カンジダ症の再発がないかを確認します。再発が認められた場合は、再び抗真菌薬を2週間程度投与し、また同じようなサイクルを繰り返します。
特に高齢者では口腔カンジダ症の発症要因を抱えていることが多いので、このようなサイクルを用いて、抗真菌薬の投与量を極力少なくして、患者さんへの負担を減らすべきであると思います。