口腔カンジダ症は多因子疾患 → 再発リスク大
口腔カンジダ症は、患者さんの全身状態や罹患している基礎疾患、年齢、服薬の状況、生活環境など、多彩な背景を要因として罹患する疾患です。
口腔カンジダ症に罹患する要因は簡単には排除・改善することができないため、一度口腔カンジダ症に罹患すると、いったん治癒しても再度口腔カンジダ症を発症することが多いです。
一般的に、抗真菌薬の継続投与は難しい
【白血病やHIV 感染などの特定の疾患】では、予防投与といわれる抗真菌薬の継続投与が行われることによって、口腔カンジダ症の発症を予防していますが、【高齢者や障害者】では、抗真菌薬を長期投与することの弊害を懸念して、短期投与に留めているケースが大半です。
そのために、高齢者や障害者においては、局所的な口腔カンジダ症は一次的に治癒するものの、カンジダ発症リスクは解決しておらず、口腔カンジダ症を容易に再発するケースが多く認められます。
特に近年では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や喘息に投与されるステロイド吸入薬を使用している患者さんや抗がん剤投与を受けている患者さんだけでなく、歯科診療所にも来院される義歯使用者におけるカンジダ症も、抗真菌薬の投与で改善がみられるものの再発を繰り返すということも臨床では多く体験することでしょう。
このような、抗真菌薬で口腔カンジダ症が一時治癒するものの、結局再発をくりかえるような症例にはどのように対応すればよいのでしょうか?もちろん、抗真菌薬の継続投与はNGです。
ヒノキチオールの力を借りてみる
口腔保湿剤により粘膜を保湿するメリットについては、よく知られているところですが、抗真菌作用があるヒノキチオールを配合した口腔保湿剤(リフレケア)が近年広く使用されています。
これは「薬用歯磨き」として販売されていますが、実際は抗真菌・抗菌作用を持った【口腔保湿剤】として使用されるものです。まさにこの抗真菌作用が口腔カンジダ症の再発を抑制する可能性を秘めています。
具体的な使用例:口腔カンジダ症予防戦略
口腔カンジダ症の再発を繰り返す患者さんに対して採用します。
臨床上、フロリードゲルを塗布するという投薬方法が用いられるため、リフレケアに切り替えた場合にもそのまま塗布するイメージは理解されやすいものです。なお、口腔保湿剤の塗布期間は、口腔カンジダ症の症状が発現しない限り継続します。
再発が頻繁な患者さんでは2週間に1回程度、それ以外は1カ月に1回程度の診察で口腔カンジダ症の再発がないか確認します。この際に使用するリフレケアは1本が70g なので、おおむね1カ月程度は使用でます。口腔カンジダ症が再発した場合は、口腔保湿剤の使用は中断し、抗真菌薬の投与を開始します。このサイクルを繰り返すことによって、口腔カンジダ症の再発を予防することができるものと考えられています。
この方法に関しては、未だ科学的な比較検証は行われていませんが、再発を繰り返す口腔カンジダ症への対応として参考にしていただければ幸いです。