「抗真菌薬を予防投与されるケース」と「されないケース」
白血病やHIV感染の患者さんは抗真菌薬の予防投与が行われているケースが多くみられますが、それ以外の
抗がん剤治療を行っている患者さんや、
喘息でステロイド吸入薬を使用しているような患者さんには、
まだそれほど抗真菌薬の予防投与が行われていないのが現状です。
また歯科診療所でも、
義歯を使用されている方や、
口腔乾燥症状のある方
に対しても、口腔カンジダ症発症リスクに関する歯科医療従事者の認識は非常に低いと言わざるをえません。
更に要介護高齢者の方々は、
口腔カンジダ症 発症因子を多数持っておられるものの、要介護状態を治すということ自体が困難なので、口腔カンジダ症の発症を抑えることが重要な課題ですが、現状では歯科・介護従事者の共通認識になっているとは言い難い状況です。
要介護高齢者が口腔カンジダ症を発症すると… 義歯の痛み → 食欲低下 → 栄養状態低下、また誤嚥性肺炎リスクも増大
今後、上記のような方々に対して「口腔カンジダ症を発症させないための予防戦略」が大変重要になってくると考えられています(記事執筆:2013年)。その根拠は、口腔カンジダ症そのものが問題であるというわけではなく、口腔カンジダ症による他臓器への影響、また、口腔カンジダ症に起因する摂食障害による全身状態の低下が懸念されるためです。
とはいっても抗真菌薬の予防投与・長期連続投与はできない…
上記で示した方々に対して、口腔カンジダ症を予防することは重要な課題ではありますが、予防のために抗真菌薬を長期間継続投与するのは考えものです。投薬による副作用と投薬による予防効果を天秤にかけた場合、長期継続投与による副作用リスクの方が問題となるからです。
このような背景より生まれてきたのが、「口腔保湿剤を用いた口腔カンジダ症の予防戦略」なのです。
予防戦略のポイント
次のコンテンツで、「口腔保湿剤を用いた口腔カンジダ症の予防戦略」について解説しますが、
・口腔カンジダ症を理解している医師、歯科医師が定期的に診察すること
・医師、歯科医師から指導された投薬、口腔ケアを行える環境であること
が前提であることを今一度ご確認ください。もしどちらかがかけている場合は、今一度調整する必要があることをお心留めください。