第2選択薬:イトリゾール内用液1%
第2 選択薬はイトリゾール内用液1 %です。
フロリードゲル経口用2 %と同じアゾール系で、1 日1 回の使用で済むため、コンプライアンスが向上します。また、深在性真菌症の治療にも使用され、肥厚性カンジダ症の場合イトリゾール内用液1 %でないとなかなか治癒しません。ただ、血中に移行しやすいため副作用発現率は高くなります。
【処方例】
1 回20mL、1 日1 回内服。しかし、下痢の副作用が非常に多いため、下痢をする方には標準量を半分にして1 回10mL、朝晩2 回、2 分間含嗽療法を行います。
イトリゾール内用液1 %を内服した場合、臨床的効果は有効率90.3%、真菌学的効果は消失71%で、内用液含嗽療法の場合、臨床的効果は有効率72 %、真菌学的効果は消失68%でした。
参考:岩渕博史 他:口腔カンジダ症に対するイトラコナゾール内用液(ITCZ-OS)の有効性の検討. 新薬と臨床 56:1607-1614, 2007
第3選択薬:ファンギゾンシロップ100mg/ml
第1 ・2 選択薬の両方が使えない場合、第3 選択薬であるファンギゾンシロップ100mg/mLを使います(相互作用が少ないために、常用薬が多い患者さんに対して、好んで使用される傾向があります)。これは味が良くないので原液をそのまま使っている先生は少ないと思います。
うがい薬として使用されている場合、菌が薬剤に接触しているときは効きますが、血中移行しないため口腔内に薬剤を含んでいない間は効果がありませんので、うがいさせる時間を長くする必要がありますが、血中移行しないため、他剤との相互作用が非常に少なく、併用薬の多い高齢者にも使用しやすい利点があります。ワルファリンを飲んでいる方にも使用が可能です。もともと小児用薬剤のため、小児にも使用することができます。もちろん、うがいができない患者さんには使用できません。また、重症な口腔カンジダ症には少し効果が落ち、味や臭いが良くないと患者さんに言われることがあります。
【処方例】
・一般的には、ファンギゾンシロップ100mg/mL(10mL)に蒸留水(490 mL)を加え2 %溶液に調製
・1 回20mL、1 日3 回、1~2 週間、毎食後うがい
その臨床症状の改善率は自験例で66。1%、真菌学的効果の消失は55%でした。
保険請求上の注意点
なお、ファンギゾンシロップ100mg/ mLはうがいをして使う方が多く、フロリードゲル経口用2 %も局所塗布をして使っている先生がたくさんいます。しかし両製剤とも診療報酬請求上は外用剤ではなく内服薬で、内服処方しないと返戻されてしまいますので、その点を注意して使用してください。