口腔カンジダ症の治療に対する考え方
消化管や呼吸器の入口である口腔は、感染経路のひとつとして、ときに全身的な重症感染症を引き起こすことがあります。口腔病変を放置しておけば、口腔内常在菌により敗血症や誤嚥性肺炎などが発症することがありますので、口腔病変を見逃さず早めに対処することが重要となります。
口腔カンジダ症にも軽症から重症までありますが、軽症例ではいきなり抗真菌薬を使う必要はありません。口腔カンジダ症への対処では、宿主側の因子が大きいため、その除去・軽減が重要になります。
【少し白苔が出ている、口の中が汚い程度】
口腔ケアを徹底していただくようにしています。
【義歯装着者などの紅斑性口腔カンジダ症】
部分的に赤くなっている程度の場合は、義歯洗浄剤を使用して義歯をしっかり洗浄するように指導することできれいになることが大半です。また、そのような症例には口腔保湿剤(リフレケアHやビバ・ジェルエットなど)を使用するのもいいでしょう。
口腔カンジダ症に使用できる薬剤
現在、主に口腔カンジダ症に使用されている抗真菌薬は
・フロリードゲル経口用2 %(ミコナゾール):アゾール系
・イトリゾール内用液1 %(イトラコナゾール):アゾール系
・ファンギゾンシロップ100mg/mL(アムホテリシンB):ポリエン系
の3 剤です。在宅診療・外来診療を問わず、高齢者の患者さんに処方する場合はフロリードゲル経口用2 %が多く使用されています。
フロリードゲル経口用2%が高齢者患者さんに使われる理由
他剤に比べて、フロリードゲル経口用2 %が高齢者に有用である理由は、ゲル状のため滞留性に優れ、直接効果が期待できます。また、内服薬であるため、口腔内に塗布した後に飲み込んでも安全です。さらに、塗布するだけで患者さんの口腔内をある程度保湿効果が得られるという点も、フロリードゲル経口用2 %の有用性が高い部分であると思います。
ただし、ワルファリンを服用されている方に対する処方には注意が必要です。