確定診断について
臨床診断が困難な場合に検査を実施し、カンジダが検出されれば「確定診断」となります。検査には以下の2種類があります。
・培養による真菌学的検査
・鏡検による病理組織学的診断
【真菌学的検査】では、口腔の病変部を擦過した検体をカンジダ検出用分離培地に塗抹して、一定温度で培養を行いカンジダの有無を判定します。
【病理組織学的診断】では、口腔の病変部を擦過した検体の塗抹標本を作製し、顕微鏡で菌糸(仮性菌糸)の有無を観察します。
特に重要で有用なのは鏡検です。
培養では菌種の同定ができ、ある程度定量的な評価が可能ですが、口腔内常在菌との区別はできず、結果判定まで2~3 日かかります。口腔カンジダ症の主な原因菌であるCandida albicansは通常酵母型で存在していますが、菌糸型になり菌糸(仮性菌糸)を伸ばすことにより病原性を発揮するため、鏡検で菌糸(仮性菌糸)を確認することが重要です。鏡検では酵母と菌糸を形態的に判別でき、迅速な診断が可能です。
確定診断により口腔カンジダ症と診断された場合も、もちろん抗真菌薬で治療を行うことができます。
歯科診療所では、培養器や顕微鏡などの機器をそろえることが困難な状況であるため、病院などで確実に診断を行い、歯科診療所において治療や予防を行うなど診療連携の必要があると考えています。
どういうときに確定診断が必要か?
例えば、
「舌の痛みを訴えているが、はっきりとした発赤や潰瘍がない、もしくは偽膜がない」
このようなケースでは、顕微鏡検査もしくは培養検査に頼らざるを得ません。口腔カンジダ症を十分に理解すれば、確定診断を行わなくともかなりの精度で臨床診断は可能ですが、重症例や臨床診断が困難な症例に関しては病診連携で協力して患者さんの治療にあたるべきです。