リスク・自覚症状・他覚所見は?
臨床的に口腔カンジダ症と診断するため、以下の点を確認します。
・そのリスクを有するか?
・特有の自覚症状があるか?
・他覚所見があるか?
自覚症状について
自覚症状についてみていきます。
自覚症状で一番多いのは口の中が痛いということです。
特徴的なものとして口腔内に触れたり、お茶など熱いものを飲んだりするときに痛みがあります。
舌痛症では、通常、本を読んだり、ぼーっとしているときに痛みを感じ、食事をしているときはあまり痛みがないという点で、口腔カンジダ症と鑑別できます。また、最近では口腔カンジダ症による味覚障害も重要な1つのファクターとされています。
ただ、このような自覚症状を示す患者さんは少数で、「義歯が合わない」「口が渇く」「口臭がする」など口腔カンジダ症ではないような訴えをする患者さんも実は口腔カンジダ症であったという例も多くあります。
他覚症状について
次に他覚症状。
他覚所見は、白苔・発赤・びらん・潰瘍などがあり、口腔カンジダ症は臨床的に以下のように分類できます。
急性偽膜性カンジダ症:
灰白色、苔状の偽膜性炎症、口腔粘膜全体
慢性肥厚性カンジダ症:
肉芽腫型、白斑型、頬粘膜、口角、舌、口蓋
慢性萎縮性カンジダ症、紅斑性カンジダ症:
紅斑型、びらん型、口蓋、歯肉、口角
慢性粘膜皮膚カンジダ症:
肉芽腫型、びらん型、口腔は粘膜全体
「病名」をつける
以上のように、患者さんに「カンジダ感染のリスク」があり、「カンジダ特有の自覚症状や他覚症状」を認める場合は、臨床診断例として「●●性口腔カンジダ症」と病名をつけ、抗真菌薬を処方することが可能となります。
このように口腔カンジダ症の臨床診断が可能な場合は簡便に抗真菌薬を処方することができ、患者さんにとっても大きなメリットとなりますので、積極的に治療されることをおススメします。