■ 大学の中にホテル
日本でも大学内にホテル系列のレストランが入っていますが、中国、規模が違います。ホテルがそのまま入っています。
我々の交流会前夜の会食もこちらで開催頂いたのですが、大学の様々な行事や催事、迎賓に対応できるキャパシティーのある「一流のホテル」が構内にあります。イメージとしては、シャラトンが北大や阪大の中にある感じです。
我々が伺った際にも、他学部のシンポジウムが開催されていたようで、世界中から研究者が集まっておられました。
研究や教育の受け皿、そして世界との懸け橋を担う施設としての学内ホテル。非常に効率的な発想だと感じます。
■ 広州の物価は東京都心レベル
構内を散策中にふと見上げると、中山大学構内にタワーマンションがあります。これは、海外からの留学生や優秀な学生が入居できる大学専用のマンション(シェアタイプ)とのこと。
広州は北京や上海に次ぐ大都市であり、家賃は東京都心レベルです。学生にとってはかなりの負担となりますが、この学生専用マンションは、年間家賃が日本円で3万円ちょっと。
しかも学生さんは、学食(とても立派)で朝夕の食事が300円程度。
中国内外から優秀な学生を集め、学業に専念できる環境が提供されています。
■ OralStudioの視点
アメリカを視察した際にも感じましたが、国力が教育に与える影響を肌で感じました。
今回の視察で、中国における問題点をいくつも感じました。
しかし、国家上層部や大学教育者の方々は、グローバルを知る非常に優秀な人材であり、まさに中国の問題点を深く理解されており、解決に向けて大きな舵を取り始めています。
「形という点で最先端な中国」が、外部の経験を学び、自らで経験を蓄積されたとき、我々日本の競争力はどうなってしまうのだろうと不安を覚えました。
国家観は国民のアイデンティティに関わる非常にデリケートな問題です。「あの国は苦手」もちろんそれはそれで尊重すべき感情です。
ただそれとは別に、
我々が世界で生き残り、我々日本人だからこそ創出できる世界への価値提供の方法を、真摯に考える時代に突入したと私は考えます。そして我々に残された時間はたぶん5年~10年もないでしょう。
文責:OralStudio代表歯科医師 小城 賢一