■ 訪中の背景
2019年12月某日、当社は某大学教員様と共に、中国 広州に視察・交流に伺いました。
今回の訪中を全面的にサポートしてくださった全球華僑会 関係者の皆様に、心より御礼を申し上げます。
当社と華僑会のつながりは、当社代表の同窓生(高校時代)が華僑会日本支部代表と大変懇意であることに端を発します。そのルートより「新しい日中歯科医療の架け橋を作っていこう」というお話になり、本案件が実現しました。
■ 広州と日本人
食は広州にあり。
有名な言葉ですが、広州には多くの日本企業(大企業)が進出しており、実に8000人近い日本人が居住してます。
このため、日本レベルの医療サービスが求められていますが、残念ながら2019年12月時点で、広州に日本人歯科医師はおらず、本来なら簡単な治療で対応できる歯科疾患が帰国まで放置され、大幅に進行してしまうケースが散見されるとのこと。日本人の通訳スタッフが常駐している歯科クリニックがあるにもかかわらず、非常に残念に感じます。
■ クリニック視察
今回、我々をご招待くださったクリニックは2医院。
一件は、在中外国人、特に日本人をメインにしている総合医科クリニック。
多くの日本人患者さんの要望を受け、歯科診療室も開設しているものの中国人歯科医師が対応しているため、上記のようなケースに至ってしまうことが多いと相談を受けました。
もう一件は、華南エリアに多数の分院を展開されているインプラントと歯科矯正(凄まじい数のインビザラインの空箱がありました)をメインにしつつ、美容外科(医科)を併設しているクリニック。こちらは中国富裕層をターゲットとした医院で、一言「勢いが凄い」。
■ 中国歯科事情
中国全土にいえることですが、歯学部の教育レベルは年々向上(日本以上の部分も多い)しています。
しかし一方で、歯科先進国の臨床現場を経験することは少なく、臨床的に改善すべき問題点は数多くあります。この点は、日中が手を組むことで、より良いサービスをアジアに展開できる可能性を感じました。まさに形は最先端ですが、中身の充実が今だ道半ばといった感じです。
■ 中山大学との交流会
今回最大の収穫は、我々の訪中に中山大学様が興味をお持ちになり、約2日に渡る交流会・大学視察が実現したことです。
病院見学や学生実習の現場については、別のコンテンツで報告しますが、中国歯科事情の近未来を予想するうえで、大変貴重な経験となりました。
■ OralStudioの視点
・民間では医療サービス(クリニック)=投資対象
→とにかくインプラントと矯正が主
→機材は最新鋭だが、そこにストーリーがない
そのため、
・予防という概念は希薄
・歯周疾患治療はほぼ行わない
という大きな問題を抱えています。
一方で、共産党幹部の方と会食したのですが、国家としては中国が迎える超高齢化社会に対する実証実験に本腰を入れ始めるようです。
人口が凄まじく多いため、中国では様々な事業が乱立し誰しもが儲けたいとがむしゃらです。
一方、国家(大学を含め)は、粛々と未来への対応準備を行っている。
以上を鑑みて、外国人が中国と付き合う場合、短期・中期・長期、どの視点で成果を求めるかにより、ビジネスモデルは全く異なります。一番の問題は、中国でビジネスを行うためには信頼できる中国サイドのパートナーが必要。パートナーが我々の視点を受け入れてくれるか、これが最大の課題であると言えるでしょう。
文責:OralStudio代表歯科医師 小城 賢一