【クリンプロ™ ホワイトバーニッシュ Fは、 在宅歯科医療の救世主になりうるか】
オーラルセラピーデンタルオフィス 小城 賢一
■ 高齢者医療とう蝕
8020の達成率が50%を超えた昨今、高齢者における口腔管理の重要課題の一つとして根面う蝕対策が挙げられる。
当院では約15年間、寝たきりや認知症等の一般外来受診が非常に困難な方を対象に診療(口腔機能・衛生管理、一般歯科治療)を行っているが、口腔乾燥に伴う急激なう蝕の進行や、慢性う蝕の突然の急性化(多くは食形態の変化や経口栄養剤の摂取開始に関連)には常に警戒している。
上記患者におけるこれらのう蝕の進行は歯冠破折に直結し、摂食機能や歯列維持に対しボディーブローのように効いてくるため、細菌学的に衛生的な口腔内を維持し、可能な限り全身の残存能力に則した口腔機能を維持するという観点からも、高齢者医療に携わる歯科医師・歯科衛生士にとって「う蝕予防」はシビアな課題である。
■ 当院の往診先でのう蝕予防
現在我々が行っているう蝕予防は、定期的なAPF歯面塗布に加え、リスクが高いケースには従来型GICによる歯面保護を行っているが、後者は手間はかかるもののう蝕処置に該当しないためあくまで当院のサービスとして提供している。
以前はSDFも活用していたが、見た目のインパクトによりいくら説明しても「この黒くなった虫歯をどうにかしてほしい」と無限ループにハマることが数回あったため、現在は使用していない。
■ 往診現場でバーニッシュを試してみる
そのような中、今回のクリンプロ™ ホワイトバーニッシュ Fを実際に使用してみたところ、
従来のバーニッシュのような扱い辛さが全くなく容易に全顎に塗布ができる。
また個装のため衛生的で、術者の移動が多い往診現場においてもポケットに各種フレーバーを忍ばせておけば必要な時にすぐ塗布できる簡便性も素晴らしい。
■ フレーバーにより会話が弾む
さらにフレーバーが3つあるため、「○○さん、メロン好き??それともミント?」のような一般的な会話から入れるため、認知症の患者さんの治療導入に大変助かるという利点もある。
■ 厳格な使用規定がないメリット
クリンプロ™ ホワイトバーニッシュ Fは、歯面が若干汚染されていても(説明書的にはプラークが残っていても)使用できる。理想的には、歯面清掃→乾燥の上で塗布であることを十分理解した上で、それらが成しえない患者さんに対して若干の効果減弱の可能性はあるものの使用できることは臨床的にありがたい。
■ 今後の当院におけるバーニッシュ活用予定
現在当院では、歯牙が残存している患者さんには一通りクリンプロ™ ホワイトバーニッシュ Fを塗布し、そのうえでハイリスク(根面が露出、もしくは口腔乾燥状態)の方には3か月ごとの継続塗布を検討している。
もちろんう蝕予防の観点からではあるが、実際のところ、我々の仕事の成果(口腔内の細菌管理・機能管理)を少しでも継続的に維持するという観点からも期待している。
【う蝕再考】コンテンツがまとまったPDF版レポート
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