【クリンプロ™ ホワイトバーニッシュ Fの 特徴と臨床使用例】
つきやま歯科医院 野間 俊宏 築山 鉄平
■ フッ化物バーニッシュについて
フッ素バーニッシュ(以下FV)はプロフェッショナルが行う高濃度フッ素塗布の一つであり、フッ化物の濃度としてはSDFの55,000ppm※7 に次ぐ22,600ppm※8 の濃度である。
FVはSDFと比較して濃度は低いものの、銀イオンによる黒色変化が無いことが大きな違いであり、う蝕予防に有効な方法の1つであると考えられる。
エビデンスレベルの高いシステマティックレビューにおいて、プラセボ群とFV塗布群(最低でも年1回以上の塗布)を比較すると、乳歯列では37%、永久歯列では43%のう蝕発生を防いだとされている※1。
■ 当院DHによる従来のバーニッシュ評価
当院の衛生士にFVに関するアンケートを行ったところ63%が普段から使用しており(Fバニッシュ、ビーブランド・メディコーデンタル)、その頻度は数ヶ月に1回~月に1回であった。
使用している症例としては、根面う蝕と知覚過敏に対する処置であった。しかし、松ヤニのような見た目と粘着性が特徴であり、以下のような声もあり積極的に使用されていなかった。
●粘度が高いために広がりにくく、隣接面に塗布しにくい
●色が悪いために、前歯部で使用しにくい
■ 当院DHによるクリンプロ™ ホワイトバーニッシュ Fの評価
従来のものと比べ、本製品(クリンプロ™ ホワイトバーニッシュ F)は白色であり、見た目と操作性が大きく改善していることから、上記の声を解決している。
また、本製品の特徴でもあるTCPを配合することでフッ化物の徐放性に優れていることも特徴の一つとして挙げられる。
使用開始前にとったアンケートでは
・「本製品を使用してみたいという」希望は7.8/10
・使用後の満足度は7.3/10
であり、
使用頻度は1月に2、3回と使用する頻度が増え、実際に以下のような声が挙げられた。
●流動性が高いため、粗造な面や隣接面に入りやすい
●白色なので前歯部でも使いやすい
●パッケージになっているので、塗布が 簡単
■ 症例
全体に塗布することは勿論、リスク部位を把握した上で使用しており、その様な当院での使用例を一つ挙げる。
左下8含歯性嚢胞摘出後に左下7歯根が露出し、同部の清掃不良と知覚過敏が生じていた。
う蝕リスクは中程度であったが、知覚過敏に対する処置および根 面う蝕の予防としてメインテナンスの際に塗布を行っている。
高濃度にも関わらず、副作用や色による審美障害もなく使用できる本製品は予防効果を期待できると考えている。今後は使用の対象を小児に拡大してく予定である。
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参考文献
※1. Marinho VCC, Worthington HV, et al. Fluoride varnishes for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 7.
※7.https://bee.co.jp/faq/saholide_liquid.php?p=93
※8.https://www.colgateprofessional.com.au/products/products-list/colgate-duraphat-varnish