概要
3M ESPEは1980年にグラスアイオノマーセメントとしてケタックセメントを導入し、グラスアイオノマー技術の開発において先駆的立場となりました。
継続的な製品開発により3M ESPEはケタックセメント アプリカップ、ケタックセメント マキシマップや製品特性を改良した充填用材料と信頼性の高い操作性を有する新製品を導入してきました。今回導入するケタックセムμ イージーミックスは3M ESPEの最新の技術が取り入れられた製品で、特に練和性を向上させています。
図1 グラスアイオノマーセメントの開発の経緯
<img src="itm_smmry_01.gif" title="グラスアイオノマーセメントの開発の経緯" />
合着は補綴物による修復において最初のステップです。合着用セメントの操作性と機械的特性に関しては、ユーザーから高い要求があります。
ケタックセメントは1980年に発売されて、その有用性を非常に多くの臨床使用で実証してきました。更に、ケタックセメントは多くの研究の題材となり、合着用セメントの基準になる材料として書籍に記載されています。
ケタックセメントはユーザーにとって簡便な製品といえます。カプセルタイプの製品は採取と練和の失敗を効果的に防ぐ<strong>一定量の自動練和</strong>を実現しています。
しかしケタックセムμ イージーミックスの導入により、粉液タイプの製品も粉末と液の採取及び練和が非常に容易になりました。臨床現場での操作性を高める付加価値には<strong>一貫性</strong>があります。
これは、<strong>材料自体の安定性と流れの良さ、並びに余剰セメントの除去の容易さ</strong>です。
すでに述べたとおり、ケタックセメントについて合着用セメントに対する基本的要求を確認する研究が広く行われてきました。
良好な<strong>辺縁適合性、低い溶解性及び高い応力に対する抵抗性</strong>を含む優れた<strong>生体親和性</strong>は確実な長期臨床成績のための条件です。
特にリン酸亜鉛セメントとの比較では、グラスアイオノマーセメントの本来持つ接着性、つまり歯質と金属への接着性が大きな優位点となっています。薄い被膜厚さが補綴物の理想的な適合をもたらしていることはいうまでもありません。
技術的な背景
上記に挙げた特徴は革新的な粉末の技術の開発と最適化および特別な工程により、グラスアイオノマーセメントの粉末は顆粒状に改良されています。顆粒の顕微鏡写真を以下に示します。
ケタックセムμ顆粒、3M ESPE内で撮影
<img src="itm_smmry_02.jpg" title="ケタックセムμ顆粒" />
この改良された粉末はちりとなってまい上がることがないという特徴をもっています。
粉末のビンを開けたときや採取時及び練和時に、周りを汚しません。このためセメント使用時に歯科医院を衛生的に保ちます。