■ 【質問】
数年前までは骨粗鬆症治療薬を服用の患者様に対して、観血処置の際に医科かかりつけ医にコンタクトし、服用期間や休止等について対診するのが一般的でしたが、近年では休薬してもあまり変わらないとの報告があります。現在は、どういった手順が正しいのでしょうか?
■ 【回答】
休薬については、顎骨壊死検討委委員会ポジションペーパー2016において、基本的に侵襲的歯科治療を行う場合、休薬しないで行うことが推奨されています。ですから、原疾患が骨粗鬆症だけで、飲み薬のビスホスホネート製剤だけを服用している場合、基本的には休薬せずに抜歯を行うことが正解だと思います。一方、ステロイド製剤やそのほかの顎骨壊死のリスクとなるような薬剤を同時に服用している場合には、抜歯後に顎骨壊死の発症リスクが高くなることから、休薬はしないですが、患者への十分な説明が必要です。あまりにもリスクが高い全身疾患や多剤併用状態にある場合には、やはり医科への対診もしくは大きな病院の口腔外科に紹介するのが良いと思います。なお、休薬に対する科学的根拠は現時点で低いというのが正しい理解になると思います。詳しくは、ダウンロードが可能な「顎骨壊死検討委委員会ポジションペーパー2016」をご覧ください。
■ 【回答者】
黒嶋 伸一郎先生長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野・准教授
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