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BP製剤服用患者の抜歯

BP製剤服用患者の抜歯

■ 【質問】


BP製剤服用患者の抜歯に関してお伺いします。

自発痛等でやもえず抜歯にいたる際の抜歯の手順ですが、術前に抗菌剤の投与を行う場合の抗菌剤の種類、また、術式で抜歯後は完全閉鎖創にしたほうが良いと某学会が言っておりましたが、その際に、抜歯窩創保護・止血の目的でテルプラグのコラーゲン製材を用いたほうが良いのかどうかをお教え頂ければ幸いです。



■ 【回答】


顎骨壊死のための抜歯を前提とした抗菌薬の予防投与に関する科学的エビデンスはまだありません。

一方、ダウンロードが可能な「顎骨壊死検討委委員会ポジションペーパー2016」においては、抜歯前に抗菌薬の術前投与を推奨していますが、その種類については明記されておりません。
また、こちらもダウンロードが可能ですが、「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」というものがあり、その中で、埋伏智歯抜歯の場合、アモキシシリンを手術1時間前に経口投与で250~1000mgを単回服用させるか、アモキシシリン/クラブラン酸を手術1時間前に経口投与で375~1500mgを単回服用させることが推奨されています。
また、手術部位の感染リスク因子が存在する場合として、アモキシシリンを手術1時間前~48時間以内経口投与で250~1000mgを単回服用させるか、アモキシシリン/クラブラン酸を手術1時間前~48時間以内に経口投与で375~1500mgを単回服用させることが推奨されています。

詳しくは、「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」でご確認いただけます。明確な回答はありませんが、抗菌薬の術前投与に関するガイドラインのご紹介です。

BP製剤使用患者に対する骨増生もそうですが、異物を挿入することに対する科学的根拠は現時点でありません。ですからコラーゲン製材を用いた方が良いかというと、その科学的根拠はありませんが、増生材料は少なからずリスクがあると考えられていますので、使用しない方が良いと思います。一方、縫合については、可能であれば閉鎖創にする方が良いと、「顎骨壊死検討委委員会ポジションペーパー2016」には記載がなされています。



■ 【回答者】


黒嶋 伸一郎先生
長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野・准教授

黒嶋 伸一郎 先生について



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2020年05月11日

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